さいきんQAのイネイブリング活動についてあれこれ思うことをブログに書いていますが、書いているうちに「あ、これって自分が大事にしている自己コモディティ化と通じるな」と気づきました。
仕事やコミュニティ活動における、自分としての基本思想
仕事もコミュニティ活動もどちらも、「自己コモディティ化」を意識しています。 自己コモディティ化は造語なので、検索しても出てこないはずです。
一般にコモディティ化、というと、
- 差別化できていたものに対して競合が出てくる
- 世の中で「普通」になってしまう、差別化できなくなってしまう
などの意味があります。
Wikipediaによると
製品やサービスについて、性能・品質・創造性・ブランド力などに大差がなくなり、顧客からみて「どの会社の製品やサービスも似たようなもの」に見えるようになった状況、を意味するマーケティング用語
だそうです。
上記のように、コモディティ化はマーケティングの世界ではネガティブなものとして扱われています。しかし自分は自分自身のコモディティ化を積極的にやっているつもりです。
たとえば、一昔まえだと「システムテストの自動化ができます」はテストエンジニアとしては小さいながらも差別化要因でした。自分の場合は、ここから「社内などまわりの皆に自動化を教えて、自分以外の誰もができるようにする」というような活動をおこないました。自分のことだけを考えると、周囲の人ができずに自分だけができる状態をキープしたほうが、差別化要因にはなります。しかし、この手のスキルはどのみち世の中がキャッチアップするに決まっているので、それだったら自分から進んで知見を共有したり教えたりしていったほうが、トータルでのメリットが大きいです。
そうして皆がシステムテストの自動化ができるようになったころには、自分はまた他のスキルを身に着けて、周囲に伝えていけばいい。表面的な技術や知識では差別化できなくなった=自分がコモディティ化したとしても、そこで得た信頼やつながりは失われずに蓄積されていくと考えています。
ただ、自分にとって得だからやっている、というだけではもちろんありません。(それメインだと続かないので・・・ 周りのスキルアップというとおこがましい感じがしますが、他の人が本当に「できる」ようになってもらいたいと思っていますし、「伊藤のおかげでできるようになったよ」と言われると純粋に嬉しいのでやっている、というほうが大きいです。
周囲に伝える≒イネイブリング
QAに限らず、イネイブリングをしていく先に待っているのは「良い意味で自分が不要になった状態」だと思っています。これは究極の自己コモディティ化です。
もちろん、本当の意味で不要になる、ということはないはずです。その技術に詳しい人が組織についている、という状況は頼もしいはずですし、どんどんと進化する技術を吸収して伝えて吸収して伝えて・・・を続けていくのが実際かと思います。
自分が大事にしている自己コモディティ化という考え方と、組織の開発者にQAに関する諸々を伝えていくQAイネイブリング活動、これらの自分の志向と活動が実はマッチしていたようです。