前回の記事では、「品質意識が低い」ということの具体例を挙げてみました。>「開発者の品質意識が低い」とはどういうことだろうか - テストウフ

記事の最後で、次の記事(本記事のこと)では「品質意識が低い」の具体から「品質意識とは」を考えたいと述べました。

品質意識として

  • 内部品質~利用時品質まで、特定の部分ではなく全体に関心を持って開発業務を行うこと
  • 単純な高低が大事というよりも、意思決定の材料として組織内で合意されていることが大事
  • 品質は特定の工程や特定の職種の人だけが担うものではなく、全体が関与すべきであるという意識

の要素がありそうだ、というところに至ったのですが、その先について考える中で、もしかしたら「品質意識」という明確なものは無いのかもしれないという気になってきました。

QAエンジニアが言う「(開発者の)品質意識が低い」の裏にあるもの

「開発者の品質意識が低くて~」という発言を聞いたときに、それをある種字面どおりに捉えて思考を始めたのが前回の記事でした。

ここではその前提を少し疑ってみたいと思います。

さっそくですが下図をご覧ください。

Image from Gyazo

QAエンジニアが「品質意識が低くて~」と言っている場合。品質意識が低い、というのはQAエンジニア側の解釈です。その裏には、品質意識が低いという解釈をするに至った具体的な何か(行動・発言・態度など)があるはずです。ここについて前回の記事では考えました。

この場合、QAエンジニアがやりたいのは「品質意識を高めること」ではなく、「品質意識が低いという解釈をするに至った具体的な何かを解決すること」なのではないでしょうか。

つまり、品質意識が~というちょっとそれっぽい言い方をしているだけであって、直接的には

  • ちゃんと単体テスト書いてよ
  • 正常系の機能テストくらいやってからQA側のシステムテストにまわしてよ
  • 明らかにユーザーにとって不便な作りなんだから実装前に気づいてよ

といった、個別具体的な「ここちゃんとやってよ!」という思いを指して、「品質意識が低い」と表現しているのかな、と思います。

もちろん全員が常にそう、というわけではありません。

おそらくは2段階の思いがあって、

  1. 個別のタスクをちゃんとやってほしい(≒ていねいなしごとをしてほしい)
  2. 他のタスクや業務も含めた全体について、品質に関して自分から考えて行動してほしい

でしょうか。

つまり、「***をちゃんとやってほしい」という具体的な何かがあったとして、じゃあそれが解決されたら「品質意識高いね!」という判断になるかというと、そうではありません。QA側の言い分としては「いちいち言わなくてもちゃんとやってよ」になるはずなので、開発組織内で品質に関する取り組みについてQAが口を挟まなくとも自発的なアクションが出てきたときに、はじめて「品質意識が高いな!」という判断になりそうです。

QAエンジニアができるアクションとはなにか、を考える

品質意識が低い、と嘆くQAエンジニアが居たときに、その裏には「個々の仕事をちゃんとやってほしい」と「個々の仕事についてひとつひとつ指摘しなくとも自発的に品質向上の視点で動いてほしい」の2つがあるのかもしれない、というところまで進んできました。

ではQAエンジニアにできるアクションは何か?を次の記事では考えてみます。これは先に挙げた図で言うところの、現状を理想に近づけるためにはどうすればよいのか、にあたります。

おそらくその次は、品質意識が高い開発組織においてQAエンジニアの存在意義は何か、という話でしょうか。なんとなく連載っぽくなってきましたね。