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普段「テスト自動化エヴァンジェリスト」という肩書で仕事をしていて、よく「テスト自動化ではとにかくツールを入れればいいというわけではありません。まず目的をしっかり持って、それにあったツールを選択しましょう。」ということをお伝えしています。

もちろん綺麗事ではあるのですが、大事なことだと思っています。

ただ一方で、必ずしもそうではないなということに気づきました。

まず、ツールより始めよ。も有り。

最近『森博嗣の道具箱』という本を読んでいました。

森博嗣の道具箱―The Spirits of Tools (中公文庫)

以下、まえがきより引用。

普通は、目指すものがあって、そこへ到達するために道がある。道具とはそういった「過程」を築くための存在といえる。しかし、良い道具を持つことは、人の支店を変える。素晴らしい道具に触れると、ときとして視点は高くなる。はるか遠くまで見通すこともできるだろう。

この1文を見て、自分の普段のお仕事を振り返って色々と思うところがありました。

テストツールやテスト自動化ツールについては、上述のとおり「目的ありきですよ」といつも言ってきました。

一方で、エンジニア教育の場面を振り返ってみると、これまでプログラミングの経験がなかった人がプログラミングを始めたり、テスト自動化ツールを使ったことがなかった人がテスト自動化ツールの使い方を覚えたりしたときに、「もしかしてコレってあそこで使えるんじゃないか」というひらめきを得る瞬間がありました。

そして、そういったひらめきを得た人というのは、教えている側も驚くようなスピードで物事を吸収していくことも多い。

そう考えると、常に「ツールはあくまでも手段であって、目的が大事だ」という通り一遍の考え方を押し付けるのではなく、ときには「まずは道具(手段)を手にしてみて、視点を高くした状態で適用先を考えてみる」というアプローチをとっても良さそうです。