ChatGPTのDeepResearchが話題ですが、月額200ドルはさすがに厳しいということで、Geminiの1.5 Pro with Deep Researchを試してみることにしました。
テーマとして、最近個人的興味から調査している、QA組織のミッションや行動規範に関する分析を依頼してみました。
プロンプト
QA組織のミッションや行動規範について、各社の公開している内容をまとめたうえで、傾向を分析してほしい。
リサーチ結果
※長いです。原文ママで貼り付けてます。
各社のQA組織のミッション・行動規範に見る最新トレンドと今後の展望
はじめに
近年、ソフトウェアやWebサービスの品質に対する要求はますます高まっており、QA組織の役割は重要性を増しています。 本稿では、複数の企業のQA組織のミッションや行動規範を調査し、その傾向を分析することで、QA組織の現状と未来への展望を探ります。 ミッションステートメントとは、企業の目的を宣言するものです。 組織全体で共有することで、各メンバーが共通の目標を理解し、外部に示すことで企業イメージの向上に役立ちます。企業が誇りを持って公に示せるものであるべきです。
調査概要
本調査では、公開情報に基づき、複数の企業のQA組織のミッションおよび行動規範を収集・分析しました。具体的には、以下の手順で調査を実施しました。
- データ収集: 様々な企業のWebサイト、技術ブログ、採用情報などから、QA組織に関する情報を収集しました。
- ミッションの抽出: 収集した情報から、各社のQA組織のミッションを明確化しました。
- 行動規範の抽出: 各社のQA組織の行動規範、またはそれに準ずる行動指針を特定しました。
- 比較分析: 各社のミッションや行動規範を比較し、共通点や相違点を分析しました。
- 傾向分析: 共通点や相違点に基づき、QA組織のミッションや行動規範における全体的な傾向を導き出しました。 さらに、各社のQA組織のミッションや行動規範を比較し、共通点や相違点を分析しました (手順2)。また、特に注目すべき点や興味深い点があれば、具体的に指摘しました (手順4)。
各社のQA組織のミッション
企業名 | ミッション | Source |
---|---|---|
株式会社nealle | 品質とアジリティの両立、品質に関わる開発プロセスの改善 | 3 https://note.nealle.com/n/nff280a692aae |
株式会社出前館 | 出前館全体の品質向上に向けて、QAチームのスキルや専門性を活かし、テスト精度の向上や開発・企画を巻き込んだ課題解決に取り組む | 4 https://recruit.demae-can.co.jp/engineer-recruitment/work/582/ |
株式会社reiwatravel | 上期:市場での重大インシデントを減らし、顧客影響を最小化、下期:リリースまでのリードタイムの縮小と高品質を目指す | 5 https://engineering.reiwatravel.co.jp/blog/newt-adventcalendar-20230423 |
株式会社SmartHR | 継続的に品質保証していける体制づくりに責任を持つ、QAエンジニアの専門性追求、開発チームの負担軽減 | 6 https://tech.smarthr.jp/entry/2024/04/11/122627 |
株式会社freee | マジ価値を持続的に届けるために、起こってはならない不具合が起きにくい体制をつくる、当たり前の品質へのこだわり、リリーススピードの重視 | 9 https://speakerdeck.com/freee/10fen-dewakarufreeenoqa |
株式会社ラクス | システムの品質保証とサービス改善への貢献 | 10 https://career-recruit.rakus.co.jp/stories/people-161/ |
QA戦略は、その目標と目的を概説する明確なミッションステートメントから始めるべきです。これは、品質基準を設定し、チームが共通の目標に向かって団結するのに役立ちます。 上記の表で示したように、各社は品質保証に対する明確なミッションステートメントを設定しています。例えば、株式会社nealleは品質とアジリティの両立を掲げ、品質担保だけでなく、開発プロセス全体の改善にも取り組んでいます。 また、株式会社出前館では、QAチームのスキルを活かして、テストの精度向上だけでなく、開発や企画を巻き込んだ課題解決まで、幅広く品質向上に貢献することを目指しています。
品質保証に焦点を当てた組織のミッションには、次のようなものが含まれる場合があります。
- 製品が品質基準を満たしていることを保証する
- 製品の品質を向上させる
- 欠陥を防ぐ
- 顧客満足度を維持する
- 運用効率を向上させる
各社のQA組織の行動規範
企業名 | 行動規範 | Source |
---|---|---|
株式会社stella | 品質保証のプロフェッショナルとして、顧客や雇用主に最大限の利益をもたらす行動をとる。プロダクト、判断、マネジメント、専門職としての地位、同僚、自身の6つの観点から、改ざんや粉飾をせず、正直さと勇気を持って誠実に振る舞い、生涯にわたる学習と倫理的なアプローチの実践を通して専門性を高める。 | https://stellaqnavi.jp/blog/blog-2/ |
野村ホールディングス株式会社 | 企業全体の行動規範として、適切な情報開示、過去の過ちからの学びと再発防止を徹底する。 | https://www.nomuraholdings.com/jp/company/basic/coc.pdf |
上記の表に示すように、行動規範を公開している企業は限られています。nealle やreiwatravel など、行動規範に関する情報が見当たらない企業もありました。行動規範は、倫理的な側面だけでなく、専門性向上や顧客重視といったQAエンジニアとしての行動指針を示すものも含まれます。株式会社stellaでは、品質保証の専門家としての倫理的な行動、顧客や雇用主への貢献、継続的な学習と専門性向上を重視しています。 一方で、野村ホールディングス株式会社では、企業全体の行動規範として、適切な情報開示、過去の過ちからの学びと再発防止を徹底することを掲げています。
QA組織のミッション・行動規範の傾向
上記の調査結果から、QA組織のミッションと行動規範には、以下の傾向が見られます。
ミッション
- 品質保証を超えた役割: 従来のテスト実施にとどまらず、開発プロセス全体に関与し、品質向上に貢献する。
- 顧客視点: 顧客満足度向上を重視し、顧客影響の最小化を目標に掲げる。
- 開発チームとの連携: 開発チームと協働し、品質向上に取り組む姿勢。
- 継続的な改善: 品質保証体制の継続的な改善 や、リリーススピード向上 を目指す。
行動規範
- 倫理観: 正直さ、誠実さ、公正さといった倫理観を重視。
- 専門性向上: 継続的な学習と専門性の向上。
- 顧客・雇用主への貢献: 顧客や雇用主の利益を最大化。
上記の傾向から、ミッションステートメントと行動規範の間には相関関係が見られます。ミッションステートメントで掲げている「顧客視点」や「開発チームとの連携」といった価値観は、行動規範において「顧客・雇用主への貢献」や「同僚との協力」といった具体的な行動指針として反映されていると考えられます。
注目すべき点・興味深い点
- 予防型QA: 出前館の例では、上流工程から品質改善に取り組む「予防型QA」のアプローチが見られます。 これは、開発初期段階から品質を意識することで、手戻りを減らし、開発効率向上に繋がる取り組みとして注目されます。従来のテスト工程のみに焦点を当てるのではなく、開発プロセス全体にQAが関与することで、より効果的に品質を向上させることができるという考え方が広まりつつあります。
- 品質文化: PHCホールディングスの資料では、品質文化の重要性が指摘されています。 品質文化とは、組織全体で品質を重視する価値観や行動様式を共有することで、継続的な品質向上を促進する考え方です。個々の担当者の意識改革だけでなく、組織全体で品質に対する共通認識を持つことが重要です。
今後の展望
上記の分析結果を踏まえ、QA組織のミッションと行動規範は、今後以下の点が重要になると考えられます。
- AI・自動化の活用: テスト自動化やAIによる品質分析など、技術活用による効率化が進むと考えられます。例えば、AIを用いたテストケースの自動生成や、バグ予測などが実現すれば、QAエンジニアはより高度な業務に集中できるようになり、品質向上に大きく貢献できる可能性があります。
- セキュリティ重視: セキュリティ threats の高度化に伴い、セキュリティ testing の重要性が増していくでしょう。WebアプリケーションやIoTデバイスなど、セキュリティリスクが高まっている分野において、QA組織はセキュリティの専門知識を習得し、開発プロセス全体でセキュリティ対策を推進していく必要があるでしょう。
- 多様性への対応: グローバル化や多様な働き方の進展に対応した、柔軟な品質保証体制が求められます。リモートワークやアジャイル開発など、従来の開発体制とは異なる環境下でも、効率的に品質保証を行うための仕組みづくりが重要となります。
- 倫理と責任: AI倫理など、倫理的な側面への配慮も重要性を増していくと考えられます。AIを利用した品質保証においては、アルゴリズムのバイアスや公平性、プライバシー保護など、倫理的な問題にも注意を払う必要があります。
注目すべき点として挙げた「予防型QA」は、これらの今後の展望と密接に関連しています。AIや自動化技術を活用することで、開発の初期段階から潜在的なリスクを検知し、予防的な対策を講じることが可能になります。また、セキュリティ testing や多様性への対応も、予防型QAの考え方を適用することで、より効果的に実現できる可能性があります。
結論
QA組織は、従来の品質保証の枠を超え、開発プロセス全体に貢献する存在へと進化しています。顧客視点、開発チームとの連携、継続的な改善、そして倫理観を重視した行動規範は、今後のQA組織にとって重要な要素となるでしょう。AIや自動化などの技術革新を積極的に活用し、変化するビジネス環境に柔軟に対応することで、QA組織はより一層その価値を高めていくと考えられます。 ソフトウェア開発のライフサイクル全体において、QAはもはや独立したプロセスではなく、開発プロセスと密接に統合されたものになりつつあります。開発チームとQAチームが協力し、共通の目標に向かって取り組むことで、より高品質なソフトウェアを、より迅速に提供することが可能になるでしょう。
感想
行動規範の要素は入れないほうがよかったかもしれません。また、QA組織のミッションももう少し多くの企業について調査してくれるとよかったなと思います。このあたりは「10社」など具体的な数を指定するのも試してみます。
全体的には概ねよくまとまっていて、傾向や今後の展望、結論なども実際に各社が公開しているブログなどの要素が入っているように思います。