世の中では「開発生産性」という言葉が流行しているように見え、その指標やツールも存在します。
リリースサイクルを早め、コキャクにカチを素早く提供するという考え方は理屈としては理解できます。理解できるのですが、なんとなくあやうい気もしています。この手の「みんなが良いと思って言っている」ことや価値観というのは、いつのまにか自分の脳内に刷り込まれて、「自分の意見もそうである」というように誤解・錯覚しがちではないか?と思うのです。
つまり、考えた結果世の中で言ってることと同意見になったわけではなく、考えてない、と。しかもそれに自分自身が気がついていない。と。
何がどう良いのかについて自分自身がよくわかっていないのに、「いやぁいまどきはこういうのが主流なんですよ。これが正解なんですよ。」と言ったりしていないか?は自問したいところです。(若いころとか絶対これやってたんですよね・・・)
開発生産性を高め、リリースサイクルを早めるのが良いことなのか?
「生産性」ということば、便利だしちょっとずるい面もある気がしてます。だって、高いほうが無条件に良い感じがします。そんなことを言ったら「品質」もそうなんですけど。
そう考えると、自分は「本当にリリースサイクルを早めることが良いことなのか?」は、実はしっくりきていません。「良いっぽいですよ」とは言えても、自分の中で理屈が構築されていないですし、自組織において開発生産性を高めてリリースサイクルを早めることが最重要なのか?と思ってしまいます。
この手のギモン、2020年くらいから言ってました・・・
組み込みでも「リリースサイクルを限りなく短く」なの?って話、
— Yoshiki Ito/伊藤由貴 (@yoshikiito) September 28, 2020
必ずしもリリースしなくてもよくて、
「リリースは半年に1回だけど、別に必要とあらば毎日最新版をリリースできるよ」状態にしておくことが大事でそれがアジリティが高いということなんじゃないかとふと
そしてヒントになりそうなことは2010年(!)に既に森崎先生が書かれてました。
「いつでもリリースできることはとても価値があるんだよ」:森崎修司の「どうやってはかるの?」:オルタナティブ・ブログ
生産性と品質保証との相性の悪さを感じるときがある
これはあくまでも印象であって、今後自分の中でカチっとなにかがハマって、違う意見になる可能性も十分にあります。が、今のところ思っているのが、生産性というものをそのときどきの点で捉えると、品質を向上する様々な取り組みが犠牲になってしまう気がする、ということです。
直近の生産性を(メトリクス上)高めるには、未来に向けた取り組みは無駄として扱われそう。
これでは不健全なので、組織として一定以上の生産性を「出し続けられる」ケイパビリティみたいなものを意識したほうがいいのでは、と素人考えながら思います。
つまり、短期的な生産性の他に長期的な生産性(に類する概念)も同時に見ていかないと、「ごん、おまえだったのか。この組織の生産性を維持してくれていたのは。」みたいなことが起きそうだなーと。
ほんとうに素人考えなので、世の中で開発部門のトップとかCTOとかやってる方はもっと進んだことを考えてるのかも・・・
そうじゃないよ、というときはぜひ教えてほしいです。