(特に若手の)エンジニアの方から「アピールが苦手」とか「売り込むってよくわからない」といった話を聞くことがあります。

今どきは評価されたい!とガツガツした人は少ないのかもしれません。この本とか読むとその心理がわかります。

とはいえ、エンジニア組織で働いていると評価されなければ収入も上がらないわけですし、あらゆるものが値上がりしているこのご時世ではスキルアップして評価を高めていくことはやりたいとかやりたくないとか以前に必須なのでは、と思っています。

世の中が前に進んでいるのだから、現状維持でいいやは叶わぬ願い、なんてよく言われます。

一方で、アピールの得手不得手、というのも確実にあるよな・・・と感じています。私自身はわりと口八丁な感じで、実力以上に評価いただいてる感もあって恐縮な日々を送っているのですが、反対に実力があるにも関わらず評価が伴っていない人、も居るようです。

で、ここでちょっと考え方というか視点を変えてほしいのですが、本当に必要なのは売り込みやアピールではないというのが私の持論です。アピールとか売り込みと考えてしまうと、「自分は別にすごくないしな・・・」という控えめ発想が出てきてしまいます。そうではなくて、自分のリアルをありのままに理解してもらえるよう、周囲から見たわかりやすさを限りなく高めていくことが正当に評価されるために大事なポイントです。

私はよく「自分の可観測性(Observability)を高める」という表現をしています。

マネージャーや同僚にとって

  • できること・スキル
  • やったこと・やっていること
  • 困っていること・課題

などがわかりやすい人間になろう、ということです。

逆向きに考えてみてほしいのですが、何ができるかわからない、今日どんな成果を出したかわからない、何考えてるかわからない。そんな人は評価されませんし、むしろ一緒に働くのすら嫌ですよね。

そうではなくて、持っているスキルや、抱えているタスク、困りごと、さらに言えば快・不快などが周囲にとってわかりやすいと、一緒に働くほうとしてもやりやすいです。このあたりはマネージャー経験のある方には理解してもらえると思うのですが、スキルは高いけどクセがあるメンバーもいたらいたで助かるのですが、よりありがたいのは「計算が立つ」メンバーではないでしょうか。計算が立つというのは、すなわちマネージャーが「この人はこのくらいの仕事をしてくれそうだな」という(暗黙の)予想をしたときに、実態と予測のブレが少ないことを意味しています。

マネージャーにとってやりやすい、助かる、というメンバーは当然評価されますし、評価されれば次の機会が得られて、結果的に成長するという良いサイクルに入れます。


では自分の可観測性を高めて「わかりやすいやつ」になるにはどうすればいいか。

いろいろな手段がありますが、基本戦略は「とにかくアウトプットする」だと考えています。ここで言うアウトプットは、なにもブログを書けとか発表しろとかではありません。

  • 日報
  • 分報
  • MTG時の発言
  • チャットツールでの会話
  • Wikiやナレッジベースへの記載

などで、自分の考えていること・困りごと・主義主張・思考の志向などを細かく・繰り返し・いつも出していくことを意味します。「ネットで見かけたこんな記事を読んで面白かったです」とか「さいきんこんな本を読んだんですよね」とか、そんなレベルからでもOKで、人は「何が好きか」という話からも沢山の情報が得られるので、そうした発言を通じて人となりを知ってもらうのも大切です。


アピールしよう、と思うとすごくやりづらいと思いますし、人によってはインポスター症候群みたいな感じになることもありそうです。気にせずアピールできる人はやったらいいのですが、そうでない人は「アピールしよう」と考えるのではなく、「とにかく自分のキャラや仕事内容などをまわりから見えるようにしよう」と考えると、少しやりやすくなるのではないでしょうか。