ITエンジニア、特に新人・若手のエンジニアにとって、質問の仕方を身につけるのは本当に重要です。
特に、技術的な内容を先輩や上司に質問する場合、質問の仕方ひとつで「今困っていることが解決できるか」だけでなく、**今後自分が成長できるか(成長を促してもらえるか)**が左右されます。
後輩の指導や教育をする先輩社員や上司は、多くが教育に1日8時間を割いているわけではありません。
自分の仕事+αのαとして面倒を見ています。
つまり、先輩や上司は基本的に忙しい。そこで回りくどい質問の仕方をしてしまったり、「結局何が言いたいの?」と言いたくなるような聞き方をしてしまうと、だんだんと扱いが悪くなっていきます。良いことではないのですが、相手も人間ですからね。
そこでまともなやり方で質問ができれば、「こやつできる」と思ってもらえます。先輩・上司は見込みのある部下・後輩を育てたいものですし、聞き方が上手だと聞いてないことまで教えてくれることもあり、とても効率が良い。
というわけで、前置きが長くなりましたが、質問の仕方を身に着けて、目先の問題解決だけではなく未来につながる質問をしようというのが今回の言いたいことです。
身につけておくべき質問の仕方
質問の仕方については、『IT業界を楽しく生き抜くための「つまみぐい勉強法」 (技評SE選書)』に素晴らしくまとまっているので、ご紹介します。
大きな流れとしては、まずは状況を整理する→整理できたら、質問をするです。
状況を整理する
まずは、今自分が何か困っている、聞きたいことがある状況を整理しましょう。
この時点で失敗している人は結構多くて、「わからない!」という衝動そのままに聞きに行って失敗しています。そもそも何が聞きたいのかわからないのに聞いたところで、相手も困りますよね。
状況の整理は以下の4ステップで行いましょう。
- 具体的にどんな作業をしたか
- その結果、どういう状態になったのか
- 本来、どういう状態になりたかったのか
- そもそも、何をしたかったのか
まず、具体的にどんな作業をしたのか。
◯◯というツールをインストールした、環境変数■■を変更した、など、困った状態に至るまでには必ず何かしらやったことがあるはずです。
ITエンジニアは「何もしてないのに壊れた」ということは許されません。
次に、自分が何らかの行動を起こした結果、どういう状態になったのか。
何かが動かないなど、現状を正しく捉えましょう。
次に、本来どういう状態になりたかったのか。
現状とゴールとのギャップを埋めてゴールにたどり着くために質問をするので、当然ゴールが正しくつかめていないと、適切な質問もできません。
最後に、そもそも何をしたかったのか。
何か課題にぶつかったときに、そもそも何がしたかったのかを忘れて目先のごく僅かな部分だけ質問してくる人がいます。
例えるならば、東京駅にいて「山手線ってどうやって乗るんですか?」と質問している人が、実は目的地が博多でしたー、とか。この場合、博多に行きたいというそもそもの目的をきちんと整理できていて、それを相手に伝えることができれば、「山手線じゃ博多には行けませんよ」とか「飛行機に乗ったほうが」とか、アドバイスが貰えるわけです。
そもそもの目的は本当に大事。
この4点を自分の中で整理できたら、あとは実際に質問をしましょう。
質問する
上記1から4を、順番を変えて質問します。
4→3→1→2の順、つまり
そもそも、何をしたかったのか→本来、どういう状態になりたかったのか→具体的にどんな作業をしたか→その結果、どういう状態になったのか
の順に相手に伝えましょう。
そうすることで、質問された相手が状況を理解しやすく、また目的と手段の間に矛盾があった場合にもすぐ気づいてもらえ、間違った方向に進んでしまう手戻りを最小限に抑えることができます。
まとめ:状況整理が、質問の仕方の第一歩
よく聞く「わからなかったら悩んでないですぐに聞け!」と「自分の頭で考えてから質問しろ!」という2つが矛盾しているという話、実は矛盾していなくて、ここで書いたような状況整理をして適切に質問することが求められてるということなんですよね。
そのためにも、まずは今回説明した1から4の流れにしたがって、自分が詰まっている状況を整理すること。
そして適切な順番で相手に質問をすること。
こうやって4ステップに分解されれば、それほど難しいことではないですよね?・・・と言っておきながら、この質問の仕方を皆がきちんとできているか、と言われるとそうでもなかったりするんですよね。(自分も他人のこと言えない)
それだけに、この質問の仕方を身につけることは、新人エンジニアや若手エンジニアにとって中途半端な先輩たちを一気に抜き去る有力な武器になります。
基本だからとおろそかにしないで、しっかり身につけて、IT業界を楽しく生き抜きましょう。