Lisa CaroselliによるPixabayからの画像
数学ガールでおなじみの結城先生がNoteにて(有料で)公開している「結城浩のサークル」に入って作業ログを購読しています。
この中で「ぜひツイートしてくださいね」という趣旨の内容が書いてあるのを見て、「おお、じゃあツイートしよう」と思ってすぐにツイートしました。
#結城浩の作業ログ を読んでいます。 https://t.co/pWxFas6cEf @hyukiさんから
— 伊藤 由貴(アウトプッ豆腐) (@yoshikiito) May 22, 2020
ツイートしたときの自分は、ほぼ何も考えず(と言ったら表現がいまいちですが)にツイートしました。「面倒だな」とか「なぜそんなことを」とは思わず。
後でふと、これってすごいことだなと気づきました。
相手や内容によっては1クリックすらしない
他人に何か行動を起こしてもらうとき、その行動をするコストを極力減らしましょう、というのをよく聞きます。確かに、10分かかることよりは5秒で終わることのほうがやってもらいやすいですし、1万円払ってもらうより10円払ってもらうほうが簡単でしょう。
しかし、例えば先の結城先生の「ツイートしてください」という例のようなことを、他の誰か知らない人や怪しいネットビジネス系の人に言われたら。
きっと同じコストの行動だったとしても、やらなかったでしょう。
人が行動を起こすには活性化エネルギーが必要
活性化エネルギー(かっせいかエネルギー、英: activation energy)とは、反応の出発物質の基底状態から遷移状態に励起するのに必要なエネルギーである。アレニウスパラメータとも呼ばれる。活性化エネルギーが高いことを活性化障壁と表現することもある。 - 執筆時点のWikipedia「活性化エネルギー」の項より
Wikipediaには上記のように書かれています。
同ページより引用の下図のほうがわかりやすいでしょう。
左のXの状態から右のYの状態になるまでに超えなければいけない壁があるが、単純にXとYの差分だけのエネルギーを与えればよいわけではない。もっと大きな=間にある壁を超えるだけのエネルギーが必要。
というイメージです。
ここで、Xが行動を起こしていない状態。Yが行動を起こし(て成長し)ている状態だと考えてみます。
私も名刺上は「エヴァンジェリスト」とつくロールでお仕事をしているため、社内外で「コレをぜひやっていきましょう」という普及活動を行う機会が多くあります。
普及するということは、今はまだ行動を起こしていない人に対して行動を起こしてもらうことが必要です。すなわち図中のXからYに持っていく、ということ。
ただ、このときに「メリットがありますよ」とアピールをするだけではXとYの間にある壁を超えられない場合もあります。場合もあります、と言いつつ、正直超えられないことのほうが多いような気がします。
壁を超えるためのエネルギーが、信頼
メリットをアピールするだけでは足りないなら、他に何が必要なのか。このヒントが、最初の結城先生のエピソードにあると思っています。
要は相手への信頼が、壁を超えるためのエネルギー(活性化エネルギー)を下げる、ということです。ちょうど、上の図の黒線が赤い点線になるように。
信頼されているから、耳を傾けてもらえて、行動を起こしてもらえる。
信頼されていなければ、行動を起こしてもらうためのエネルギーが著しく大きくなってしまう。
エヴァンジェリストとして何かを広めていくにあたって、この「信頼」というものは強く意識していかなければ、とあらためて気づいた話でした。