社内向けに(プライベートの時間を使って)書いたものが手元にあったので、せっかくなのでブログでも公開しようと思います。
はじめに
社外で発表や登壇をするよりも少しハードルが低い場として、 社内勉強会やLT会などがある。
ハードルが低いとはいえ、慣れないうちはなかなか踏み出せなかったり、うまく行かないこともあると思う。 そこで、自分ができているかどうかはいったん棚に上げて、テクニックや心がけを共有する。(自分のための整理も兼ねている)
ネタを考える・発想するテクニック
ネタを考えている時点で半分失敗していると思おう。
きつい言い方をすると、発表をしようとか、テックブログを書こうと思ったときに(もしくはマネージャーから「やれ!」と言われたときに)「何かネタになりそうなものはあるかな」と探し始めているようだと、遅い。
ここでやってしまっているのは0から1を生み出す作業なので、発表やブログのネタに限らず大変なこと。
理想的には、「何について発表しようor書こうかな」とネタの貯蔵庫を見に行って、そこで「これがよさそうだ」とか「これとこれを組み合わせると面白そうだ」と思いつく形が望ましい。つまり、0から1ではなく、材料がたくさんある中から選んで使う形。
なので、そのためには日頃のメモが大切。なにか困って自力で解決したことや、自分が思った仮説、試したらうまくいったことなどを随時メモしておくこと。これを普段からやっておくと、発表やテックブログなど何かしらアウトプットをしようと思ったときにすぐに複数のネタを思いつくことができる。
・・・ただ、これだとこの文章を読んでくださっている方にとって即効性がないので、メモを蓄積していなくともなんとかする方法をいくつか。
- 使っているブラウザの検索履歴を見て、何に困ってどのページを開いて解決したのか、を思い出す
- 普段書いている日報を見返す
- 3年前に出来なかったけれど今はできること、を考える
- 自分のチームに新卒が配属されてきたら教えたいこと、を考える
このへんをトリガーにして発想してみると、何かしら見つかるはず。
資料作成のテクニック
デザインについて
- とりあえず以下スライドを読めばOK。読むだけではオシャレで見栄えのよいスライドにはならないが、見た目が発表の邪魔になることが圧倒的に減る。余計な減点を避けられる。
内容について
- 個人的には、内容薄いくらいがちょうどいいと考えている
- そのほうが、聴衆が「なるほどわかった!」と思ってくれて、評判がいい
- 質問が来そうなところや、伝え足りないところはAppendixとして書いておけばOK。時間が余ったときなどに触れられる
- よく言われるのは、相手が知ってること7割、知らないこと3割のバランス
- 社内勉強会の場合はここが崩れることも多々ある。知らないことが増えても問題ない
道具について
- エンジニアが内輪向けにプレゼン資料作るのであればとにかくMarpがオススメ
- Marp: Markdown Presentation Ecosystem
- VS Codeにプラグインを入れて、Markdownでスライドが書けるツール
- テキストや画像を細かく配置調整したりはできないが、そのぶん内容を書くのに集中でき、スピードUP
- 先述の「とにかく楽しよう」が実現できる
発表のテクニック
スタートラインを揃える
聞いている人によって、持っている知識レベルなどが異なる。 発表内容の前提となるような内容は、「これはみんな知ってるかな」と思うものも説明する。
その場で「みなさんこれってもうご存知ですか?」と一応聞いてみて、明らかにみんな大丈夫そうであれば飛ばせばOK。ただ、「わかりません」とは言いづらいものなので、100%みんな知ってそうだ、と思わない限り簡単にでも説明するのがベター。
実体験で聞き手の意識を集める
「これは私が実際に経験したことなんですけど」「前に実際にあったのですが」といった言い方、自分が体験した事実をこれから話しますよー、と言うと、聞き手の意識を集めることができる。
直近あったことに絡める
「ちょうど昨日あったことなんですが」とか「今朝のニュースでちょうど関連する話が」のように、直近の話題に触れる。実際の出来事や、一般公開されたニュースなどに自分の発表を関連づけることによって、発表自体がタイムリーに行われている感が出る。すると、聞き手の脳内では無意識に発表の価値が上がり、より聞いてもらえる。
前の人の発表に言及する
勉強会の中で複数人が発表する場合、自分の前に発表した人が話していた内容に言及する。「**さんがおっしゃってた***という話にも繋がるところで~」など。 これを行うと、発表間の関係性ができ、勉強会自体がオーサライズされている感が出る。結果、参加者の満足度が上がる。 また、言及対象の発表がすばらしければすばらしいほど、言及したことで自分の発表もなんとなく良かった感が出る。 さらに、こういうテクニックを実践すると「発表こなれてる感」が出せる!
そのほか、心がけ
なるべく気楽に
内輪の勉強会であれば、大事なのはすばらしい発表よりも、会の盛り上がりのほう。 勉強会の目的なさまざまだけれども、単純にナレッジを共有するだけではなく、学んだことをまとめて他者に伝える経験だったり、積極的に学んだりそれをシェアしたりという雰囲気・チームの文化醸成だったりする。
つまり、発表しただけでえらい!何回も発表したらもっとえらい!くらいの気持ちでいいのでは。
失敗が不安なときは、小さなチャレンジを入れる
発表に対して気持ち的なハードルを感じている場合、失敗を避けたいとか、悪い評価(※半期・通年の評価のことではなく、**さん発表ヘタだねーとかそういうものを指す)をされたくないとか、そういった気持ちを持っている場合がある。 そんなときにオススメなのが、発表のたびになにかひとつ小さなチャレンジをすること。
たとえば
- 「えー」と言ってしまう回数を10回以内にする
- その場でのデモをやってみる
- 聞いている人に「**さんはどう思います?」と話を振ってみる
など、なんでもOK。
この意図は、発表の成功・失敗の基準をずらすこと。
自分の小さなチャレンジのほうに成功・失敗の判断基準を持ってくることで、たとえ周りに褒められなかったり反応がイマイチだったりしても、それは失敗ではなくなる。 極端な話、もし発表して「全然わかりませんでした」とか「下手くそ!」とか言われたとしてもこう言い返せばいい。「いや、自分は今回違うところでチャレンジしてて、そっちはうまくいったのでOKです」。
発表ってほんとうにめんどくさい
自分の考えとか学んだこととかを言語化しないといけないし、それを資料にまとめないといけないし、一応話す練習くらいはしないといけないし、で本当にめんどくさい。
けれども、宮崎駿も「プロフェッショナル仕事の流儀」のなかで
世の中の大事なことって たいてい面倒くさいんだよ
と言っていたくらいです。
「面倒だけどやるかー」というくらいの気持ちでも別に良くて、必ずしも「モチベMAX!」でなくともいい派。