この記事はソフトウェアテストのカレンダー | Advent Calendar 2022 - Qiitaの23日目です。


毎年のことながら「何を書こう・・・」と悩んでいてTwitterに助けを求めたところ、@teyamaguさんからネタをいただきました(ありがとうございます)

最も役に立った、だとなかなか決めかねる部分があり、「読んでよかった本」をつらつらと書いていこうかと思います。

私が2022年に読んだというだけで、今年発売された本には限らない点ご注意ください。また、熟読した本ばかりではなく、ポイント読みやざっと流し読みした本も含めます。(意志薄弱

The BDD Books - Discovery (Japanese Edition)

こちらは記事にも書きました。

『The BDD Books Discovery』はQAにも開発者にもPOにもPMにもとにかくみんなに薦めたい - テストウフ

お友達の風間さんが翻訳された本で、だから推すわけではないのですが、私にとって学びが多い本でした。BDD(振る舞い駆動開発)の位置づけについて、まさに本書中で触れられていた「よくある誤解」をしていたので、それが解けた、認識をアップデートできたという点で個人的にヒットした本です。

会社の別チームでBDDの話題が出るたびにリンク投げつけてます。

ソフトウェアテスト293の鉄則

仕事中も個人でも何度も折りに触れて読み返した本。2022年に、というかいつ読み返しても「あー、そうそうそれそれ、ここに書いてあったんかい!」と思ってしまうスルメ本です。

特に私はテスト自動化の仕事をする上で何度も見ているのですが、発売からだいぶだった今でも当てはまるようなことが多々書いてあり、「ちょっと古いけど役に立つ部分もあるよ」どころじゃなく、「今からでも読め」本として扱っています。

  • 自動化は”銀の弾丸”にはならない
  • テストツールに使われるな
  • 手動テストと自動テストを同格に扱うな

なんかは自動化の界隈で常に言われている(が、初心者がハマりがちである)点ですし、他にもソフトウェアテスト全般として

  • テスト技術者の成長もテストの成果の一つである
  • 「かけもち」はできそうでできない
  • 枠にとらわれずキャリアを追求せよ

など、普段うっすら頭のどこかにはあるもののそれほど言語化してないもの、なんかも293の中に出てきたりして、自分の脳内の泉に石を投げ入れられるようなそんな感覚も味わえます。

好きな人はこの本のページをランダムに開いて出てきた鉄則で一晩語れるらしいです。

あと細かい点ですが、Kindle版が販売されている点が本書の強みです。(紙しか無い絶版もちょこちょこあり。。)

Test Automation Fundamentals

Test Automation Fundamentals: A Study Guide for the Certified Test Automation Engineer Exam * Advanced Level Specialist * ISTQB® Compliant

ISTQB自動化エンジニアシラバス準拠の本ということで読んでみたのですが、個人的には良い感じでした。

内容を公式から引用。

• An introduction to test automation
• Objectives and success factors
• Preparing for test automation
• Introduction to generic test automation architectures
• Design and development of a test automation solution
• Risks and contingencies during deployment
• Metrics and reporting
• Transitioning manual testing to an automated environment
• Verifying a test automation solution
• Continuous improvement

システムテスト自動化における基本事項が幅広く書かれており、かつ(翻訳しておいて言うのもアレですが)JSTQBのテスト自動化エンジニアシラバスよりも、ボリューミーだけれどもとっつきやすくなっている印象です。

Furthermore, the book introduces you to the contents of the syllabus and helps you to prepare for the certification exam.

とも書かれているので、いつか来るかもしれないJSTQB AL テスト自動化エンジニア試験的なものに備えるにはよいかもしれないです。

The implementation of test automation is usually associated with several goals and expectations. In spite of all its benefits, automation is not (and will never be) an end in itself. The initial goal is to improve test efficiency and thus reduce the overall cost of testing.

Other important factors are the reduction of test execution time, shorter test cycles, and the resulting chance to increase the frequency of test executions.

From the overall project point of view there are also significant advantages to using test automation. Immediate feedback regarding the quality of the SUT significantly accelerates the project workflow. Existing problems are identified within hours instead of days or weeks and can be fixed before the effort required for correction increases even further.

Automating processes always involves additional costs, and test automation is no exception.

などなどなど、多数のハイライトをしながら読みました。

ソフトウェアテスト12の必勝プロセス

主に、テストのROIや品質コストまわりの話を読もうと思って購入しました。(中古でも結構した) 骨があるというか噛みごたえがあるというか、間違いなく「しっかり読めばかなりのリターンが得られる」タイプの本だと思ってます。日経BPのソフトウェアテスト本あるあるですね。仲間がいるなら輪読とかしたほうがいいかも。

テスト自動化のROIについて自分なりに整理する過程で品質コストのところを拾い読みしよう、と思って買ったのですが、全体ざっと見して、これもっとちゃんと読むやつだなと考えなおしたくらいです。2023年の熟読本予定です。(と書いて1年後が怖い)

ソフトウェアテストとかQA始めたての方が「テスト技法をドリルや練習帳で学びました」となった次の次くらいな印象です。間に挟むべきは『知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト』か『マインドマップから始めるソフトウェアテスト』あたりがよろしいかと。

ソフトウェアテストをカイゼンする50のアイデア

原著をAmazon欲しい物リストに入れたまま熟成させていたら、なんと翻訳版が出たというありがたい書籍。

タイトルの通り50のアイディアが紹介されている本ですが、ひとつめからして「関係者と品質に関する全体像を定義しよう」なあたり、もう良書ですよね(強引)

私は特にテスト自動化に関するところから読んでいったのですが、

  • 手動テストを自動化するのはやめよう
  • ユーザーインターフェースを通じたやり取りは最小にしよう
  • 自動化パターンの具体例を集めたギャラリーを作ろう
  • テストの有効期間を計測しよう

あたりは非常に納得しつつ読みました。普段自分が仕事をするうえでなんとなく「こうすべきだよな」と思っていたような部分が的確に言語化されている、ような印象です。(ありがたい)

一方で

  • 自動テストを開発者の責任としよう

あたりは議論してみたいポイントだったりもして、一人で読んで終わりにするよりは、アイディア毎に何人かで集まってワイガヤするような読み方もまた面白そうだと思います。

実際にイベントも開催されています。>#50QuickideasTests - Twitter検索 / Twitter

おわりに

実はこのほかにも

  • 自動ソフトウェアテスト
  • アジャイルメトリクス
  • システム運用アンチパターン
  • ソフトウェア品質の経済的側面
  • Googleのソフトウェア・エンジニアリング

あたりを買っていて感想を書くほど読めていなかったり、『現代品質管理総論』『エンジニアリング組織論への招待』あたりは非同期読書会なるものをやってみたりしてました。

が、感想を書くほど読めてないなどの理由でここには載せませんでした。来年の同企画に出てくるかもしれません。