Twitterで話題沸騰していたので読みました。

結論、これはすごく良い本でした。方向性としては、『SOFT SKILLS』に近い印象。

概要

米マイクロソフトに勤める筆者が、同僚たち=世界一流エンジニアがどのように思考しているか、について書いた本。思考とはいいつつそこから生まれる行動、スタイル、大事にしていること、メンタルモデルなどを解説しています。

そもそも世界一流エンジニアたちは他人より頭の回転が早いとか記憶力がすごい、等で一流の座にいるわけではない、と筆者はいいます。

なぜ彼らは圧倒的に仕事ができるのか? 実は、彼らはなにも全員が常人と比べて著しく頭の回転が速いわけでも、天才的記憶力を持つわけでもない。 主に「思考法」(マインドセット)が高い生産性を形づくっているのだ。小手先のテクニックでもなければTipsでもなく、その圧倒的パフォーマンスは思考法から生まれているという事実。

これが本書の肝だと思っていて、世界一流エンジニアたちが、なぜ・どのように思考しているのか=どんなマインドセットを持っているのかを理解し、それを読者も実践することで(世界一流になれるかは別として)エンジニアとして大きく成長できる、というメッセージを受け取った。

興味深かったポイント

全体的に面白くて、付箋を大量に貼りつつ読んだのですが、特に気になったところを紹介します。 けっこう日本の常識とは逆のことも書いてありました。

優秀なエンジニアは理解に時間をかけている

一流とか天才とか聞くと、ひと目で「はいはいこれね」と答えを出すかのようなイメージをつい持ってしまいます。 が、マイクロソフトの一流エンジニアであっても、わからないことはわかりません。当然ですよね。

ただ彼らの思考法としては、「理解には時間がかかるとわかっていて、ちゃんと時間と手間をかける」のだそうです。

自称中級者くらいになると、よく基礎の部分を「ここはもうわかっている」などと飛ばしがちですが、一流はそこをおろそかにしません。プロのミュージシャンが基礎連を飛ばさずにしっかりやるように。

情報量を減らす、すぐ聞く

日本では「ググレカス」と言われるように、疑問は自力で調べてから人に聞け、的な風潮がありますが、どうも一流エンジニアはそうではなく、気軽にさらっと聞いてしまうようです。そのほうが組織として生産的なため、です。 かつ、この前提として「断るのは悪くない」「断られてもヘコまない」的な共通認識があるので成り立っているとのこと。

そして、聞くときの聞き方も日本で良しとされている方法とは違っていて、質問の前提や詳細を丁寧にあれこれ書いて送るのは好まれないようです。むしろ情報量を適切に減らして、読み手の負荷を下げるほうが望ましい。

ここは文化的な違いもあって、すぐに個人で実践すると問題が起こるかもしれませんが、チーム単位などで取り入れるには良いように思いました。

完了させる

一番この本で得たのがこれかもしれません。

仕事も、家事なども、散らかってしまうのは「完了」までやっていないからだ、という話が後半に載っています。これが、心当たりがありすぎました。

これは私の話ですが、仕事では着手はするけど完了していないタスクが多く、そのせいで手持ちのタスクが膨らんでいき、優先度付けに時間がかかったり、タスクが漏れたりという悩みがありました。また家事においても、部屋やデスクが散らかっている状態でした。

どうも筆者も似たような状況だったようで、

あれ、もしかすると今まで散らかっていたのは、「完了」させていないからではないか?

というひらめきを得たそうです。ここから、仕事でも生活でも「完了」させることを意識することで、自分の人生をコントロールしている実感を取り戻しつつ、身の回りも片付いていった、というエピソードです。

この考え方が、読んだ自分にとってもけっこうなインパクトがありました。特別なにか「やるぞ!」と決意したわけではないのですが、日々生活していて「ちゃんと完了までもっていこう」「あ、これだと完了じゃないぞ」と、常に「完了」のワードが頭に浮かぶ状態になり・・・

結果的に(写真はお見せできませんが)普段仕事や、プライベートでの色々に使っているPCデスクや書斎の中が少しずつ整理されています。本記事タイトルに書いた「読んだら部屋がきれいになってきた」は、ここの話です。

まとめ

まさかエンジニア向けの本を読んだら部屋が片付き始めるとは自分でもびっくりなのですが・・・

エンジニアとして、仕事やプライベートの区別に関係なく役に立つ思考法やヒントがたくさん載っている良書でした。読んでからいろんな人に勧めています。

思考法とかメンタルモデルはもちろん個人でも有用なのですが、普段仕事をしているチーム単位で「こういう考え方でいこう!」といった方向性が合うと効果も大きくなると思うので、チームで読んで感想をシェアしあうとかもかなり良さそうです。