今年も始まりました、ソフトウェアテストの小ネタ - Qiita Advent Calendar 2024 - Qiita。 この記事は1日目です。アドベントカレンダー首謀者の伊藤です。
6/12から始めた論文読みが、6月いっぱい続きそう。
— Yoshiki Ito/伊藤由貴 (@yoshikiito) June 29, 2023
来月もちまちまやっていき。 https://t.co/82fZ9DtECr pic.twitter.com/ApMXMprMLU
私は1年半くらい前から、テストに関する論文を読むようにしています。最初は毎日1本ずつ読むぞと言って頑張っていたのですが、結果的に大変&1本あたりが雑になってしまい・・・
今は週1回さらっと読むくらいにしています。このくらいのゆるさだと、わりと楽しく読めているので、今回はメリット・デメリットややり方等ご紹介します。
ただ、真面目に全部書くと長くなって「小ネタ」の範囲を越えるので、概要レベルに留めます。個別の詳細は別記事で書くかもしれません。
論文の読み方
論文を読むときのステップは、以下の通りです。
1. 論文を選ぶ
大体選ぶときには「これかこれか、もしくはこれか・・・」といった形で同時に数本ピックアップするので、ストックがあることが多いです。ストックがあるときはそこから選びます。 ストックが無い、あるいはストックがあるけれども「このあたり読みたい」という気分になったときは、キーワード検索をかけて探します。 “test automation” とか “tset LLM” とか、 “defect classification"とかですね。
または、1本読んだあとでその論文を参照している論文・その論文が参照している論文のなかから興味あるのを選んでストックしておいたりもします。
2. 日本語に翻訳する
※日本語論文はこのステップを飛ばします。
軟弱なので、英語そのままだとやはり読むのが遅いです・・・
時間かけて丁寧に読み解くのも意味があるのですが、書籍と一緒で「そもそも精読すべきものか?」を判断するために、先にざっと読んだほうがいいと思ってます。なので、まずは概要を把握するために日本語にします。
以前はReadable:PDF を瞬時に翻訳する AI ツールを使っていました。このサービスはレイアウトを崩さずにいい感じの日本語にしてくれる!というのが売りだったのですが、自分の使用範囲では崩れる&日本語が気になることが多く、やめてしまいました。
今はNotebookLMを使っています。
NotebookLMに論文のPDFを読み込ませて、概要や既存研究との違いなどを質問すると、日本語で答えてくれます。
Readableの記事の中に、AIを使った論文の読み方|Readable’s Compassというのがあって、これもまた参考になります。
3. 斜め読みする
NotebookLMに質問しながら概要を把握したのち、英語の原文を読みます。いきなり英語にアタックするよりはだいぶスムーズになります。 とはいえ、内容がわからないところなどは多々出てくるので、そのときは不明点などをこのあとメモできるようにしておきます。
4. メモを取る
わからないところ、NotebookLMで得た情報、読んだ感想などを記録します。
私はObsidianに以下のフォーマットでメモしています。
## 読もうと思ったきっかけ、参照していたもの
## メモ
### 論文の概要
### 背景
### 調査の方法
### 結果
## 感想
## 関連研究
これはNotebookLM導入以前に作ったものなので、今はNotebookLMが出力してくれた答えをそのままぺたっと貼って終わり、なこともあります。(このあたりが雑ポイントですね
あとは気が向いたときにTw・・・Xに投稿したり。
ためしに論文読んだメモでもXに投下してみる。もうちょっと整形する機能みたいなの無いっけ・・・
— Yoshiki Ito/伊藤由貴 (@yoshikiito) October 18, 2024
> ChatGPTのブラックボックステストへの適用および人間との協働可能性についての調査https://t.co/bycr2v4aH7
背景…
メリット
正直メリットを追求しだすと辛いと思います。短期的になにかが起こるタイプの活動でもないですし。なので、記事のタイトルにもあるように「雑に」とか、もしくは「なんとなくかっこいいから」とかでいいんじゃないでしょうか。 「技術書を読む」とか「ブログ記事を読む」と同じ感覚ですね
本を読むよりも長さ的には短いので、「読了」しやすいのがメリットかもしれません。
技術書はどちらかというと「課題解決」とか、テクニックや考え方をインプットするのに使えます。 一方論文のほうがアイディアというか、自組織で改善の取り組みするうえでの視点・発想みたいなものが得られると感じています。主観です。
「すばらしいなにか」を得てめちゃくちゃ仕事がうまくデキるようになる、とかは今のところありません。
ただ、
- こんな課題があって
- こんな取り組みがされているけれども十分ではなくて
- なので今回こんな仮説を立ててみた
- 結果こうでした
という流れに(当然ながら)理屈がちゃんとあって、それが面白いんですよね。
決して悪く言うわけではないのですが・・・例えばエンジニアの勉強会とかで発表されている内容だと「こんな取り組みをした結果、なんとなく良くなった気がします!」的な、定量的でない感想に近いものも結構あるじゃないですか。私もよくやってるんですけど。
一方論文では「仮説立てて実際に実験や調査をした結果、このように数字に現れました!」と説明されているところに面白みを感じます。私は。
デメリット
金です。
自分はACMとIPSJ契約しているのですが、トータルで年間5万円くらいかかっています。ここに、論文管理用のPaperpileというツールの費用や、使うのを止めてしまいましたが以前はReadable代もかかっていたので・・・それなりにかかってますね。
まとめ
お金もかかりますし、正直全員にオススメできるわけではありません。ただ、月額換算すればChatGPTなどのAIツールと変わらないですし、趣味代としてなら許容範囲かなと思います。
ちょっとでも興味が湧いたら、この機会にぜひ。
あとIT企業だ!って言ってる企業の皆様はIEEEとかACMの論文を社員が読めるようにしてください。
そうです。IEEEとACMくらい無料で読めないIT企業は、IT企業と呼べるでしょうか? RT @yoshikiito: ( 'ω').oO(大学のドメインからはACMデジタルライブラリーの論文が読めるね、と同じように会社がほげほげしてくれれば万事解決…?)
— Yasuharu NISHI (@YasuharuNishi) November 3, 2018