エンジニアのキャリアも十数年になって、マネジメントや組織づくり的なことも経験させてもらってきたので、昔は理解できなかったけど今は「ああ、わかるなぁ」「そうだよなぁ」と思えることも増えてきているように感じます。

そのうちの一つとして覚えているのが、俺達は強いおじさんのエピソードです。


むかし客先常駐で働いていたとき、自分含む数名がテストエンジニアとして現場に来ていて、それとは別の会社から15~20人くらい、けっこう大所帯で常駐している開発会社がいました。

この方たちが週に一度定例ミーティング的なことをやっていたのですが、場所が会議室ではなくてオフィスの一角にパーティションで区切られたスペースで行っていたので、中の会話がけっこう聞こえてきていたんですね。盗み聞きするつもりはなかったのですが、普通に仕事していると漏れ聞こえてくる、というそんなレベルでした。

その開発会社から来ている方たちのリーダー、たぶん40代中盤くらいの方だったと思うのですが、定例ミーティングの終わりによくこんなことを言っていました。

「なかなか大変ですが、皆でやっていきましょう。俺達は、強い!

わりと力強く言ってミーティングを締めていたのが印象的でした。

このころ自分は20代だったので、「なんじゃそりゃ」と思っていました。若いころは特に、エンジニアは技術力がナンボなんだからウェットな諸々なんてしょーもなーいわーくらいに考えていた、そんな気がします。恥ずかしいですね。

というわけで、当時は「俺達は、強い」なんて言ってミーティング締めるのはバカバカしいくらいに思っていたわけですが、自分が30代になってリーダーやマネージャーなどを経験してくると、当時の「俺達は強いおじさん」のやっていたことが、なんとなくわかってくるんですよね。ああいうのも大事やんと。

もちろん真の狙いとか意図は当時の本人に聞かないとわからないので、察することしかできないわけですが。

  • 客先常駐で、場合によっては複数社からの「寄せ集め」のメンバーを「チーム」にするために言っていた
  • シンプルだけどキャッチーな言葉は心に残りやすいし、チームの軸や判断基準になる
    • 特にピンチのときには明確な判断軸があると救われることも多い

など、今思うと色々な狙いや効果が考えられます。

適当にそこらのマネジメントやチームビルディングの本を開けば、俺達は強いおじさんの行動に理由付けするような話がいろいろと出てきそうでもあります。

便利なツールや開発手法など最新の情報が色々出てくる時代ですが、特にQAエンジニアとして品質向上を狙って活動をしていて思うのは、

  • 結局地味で愚直なことをやる、「当たり前のことを当たり前にやる」のが最優先
  • 結局、仕事は人

だな・・・と日々思わされます。若い頃心のどこかでナメていた「俺達は強いおじさん」が実は正しかったんや・・・


7, 8年前の出来事を思い出して書きながら、「もしかして俺達は強いって何かのセリフ・・・?」と思って調べてみたら、スラムダンクなんですね。知らなかった・・・(読んでいない