QAエンジニアの採用に関する話題が非常に盛り上がっている昨今(※主観)です。
盛り上がっている、といっても、実態としては「QAエンジニアを採用したいけれどもなかなか採用できない!」という企業さんが多い状況のようです。
今日も何人かに「QAエンジニアって…(採用市場の)どこにいるんですかね…😇」ときかれたけど、それに関しては「いやぁ…こっちがききたいくらいっすね…😇」としか言いようがなかったという…
— よーや (@yoya_k) July 13, 2023
このへんの話を見ていて思ったのが、
- QAエンジニアを募集するからには、ちゃんとQAのことをわかって募集しなさいよ
という気持ちと
- そうはいっても、一人目を募集している=現在は0人、な状態でQAエンジニアの気持ちや業務をわかれってのは酷よね
という気持ちの両方です。
ちまたの募集を見てると、「ちゃんと要件を考えて募集しましょうよ」という気持ちと、「まだ0人なのに明確なビジョンとともにQA募集は無理だよなぁ」という気持ちとの両方あります…
— Yoshiki Ito/伊藤由貴 (@yoshikiito) July 14, 2023
(募集かけただけで湯本さんは来ないですね…😂
募集するほうもビジョンがないと、応募者が悲しい思いをするので、そういうことが相談できる場所が欲しくなるかもしれませんね。そういうコンサルがいてもいいのかも。
— EgaSa (@EgaSaQA) July 14, 2023
せっかくなので、QA転職をしたりQA採用をしたりしている身として、ひとりめのQAエンジニアを採用したい企業さんはこういうことを考えて・明示していけばいいのでは?というポイントをいくつか書いてみます。
思いついた順なのでおそらく整理されていませんし、むしろこの記事をきっかけに他のQAの方からもまた別の意見が出てきたりすると、結果として募集かける側にとっての情報が増えてハッピーなのでは、と考えています。
ひとりめのQAを募集するときに考えてほしいポイント
特に裏付けるデータとか無いので、全て主観だと思って読んでくださいね。
その会社の中での「QAにきてほしい!」はどのレベルなのか
いまはそうでもないですが、過去にはQAエンジニアは「なかなか価値を理解されない」という不遇の時代を生き抜いてきた人もいます。 くだけた言い方をすると、組織の中で「テストのタスクを投げる先」であったり「重箱の隅をつついてくる面倒な存在」であったり、と思われることがありました。
そのため、特に一人目のQAエンジニアとして組織にJoinする場合、まず組織の中でQAエンジニアおよびQA活動の価値をわかってもらうところからのスタートになります。
これは一人目QAの仕事としては当然含まれる部分ではあるのですが、邪険に扱われるところからのスタートなのか、経営層から現場の開発者までウェルカムな状態でのスタートなのか、で大きく違います。
率直に言って 「テストがなんだ」「品質がなんだ」というスタンスの人に品質の大切さをわかってもらう段階からは誰もやりたくない と思います。
ありがちなのが、経営層やCTO、開発部部長といったレイヤーの人が「ぜひQAエンジニアに来てほしい!」と思っているけれども、現場は別に求めていないパターンです。これだと、JoinしたQAエンジニアがいろんな活動をしようと思っても、成果が出づらいです。最悪、JoinしたQAが辞めていきます。
なので、募集をかける際には最低でも
- 現場メンバーもQAに来てほしいと思っているし、経営層も同様。ウェルカムですよ
- 現場メンバーの品質意識が低く、CTOの自分が危機感を持っている。現場の意識を変えるところから、二人三脚でやってほしい
なのかを(募集要項には書きづらそうですが、まぁスカウト文面とかでクローズドに)明らかにして声掛けをしたほうがフェアでしょう。
ひとりめQAに求めるものは何か
QAエンジニアは品質を高める役割を担うので、その職務の範囲は広すぎです。 なので、市場のQAエンジニアにも色々なタイプがいます。
- 品質目標の策定から、組織における品質の把握・向上のための各種施策を設定して開発含めみんなでやっていく人
- テストのスペシャリストで、チームに入って特定プロダクトの品質を自分の手を動かしてやっていく人
- Software Engineer in Testのように、自動テストごりごり書いたりCI/CDパイプライン作ったりする人
- 採用とマネジメント、それからミッション策定などを行いQA組織をつくる人
などなど。
なので、募集かける場合はその一人目QAにやってほしいことを明確にしましょう。
よく見るのが「そんなスペシャリストほとんど居ないぞ」ってレベルで全部盛りにしている募集要項です。募集してる側にはそんなつもりはないのかもしれませんが、あまりに無邪気にいろいろ書いてあると、QAエンジニア的には「あっ、わかってない感じだな」と思って応募しない可能性もあります。
沢山書くにしても「特にこれをやってほしい」とか「全部ではなく、得意なところからやってほしい」など、ポイントを絞ったほうが見つかりやすいでしょう。
もし「QAなんもわからんけど品質が大変!」ということであれば、カジュアル面談やスカウト文面ではその通り正直に伝えたほうが、やる気になる人がいる気がします。
(上記に関連して)組織化の方針とマイルストーン
会社の規模が小さかったり、社内のプロダクトが一つだけ、であればリーダークラスの立ち回りができるQAエンジニアを採用して、そのプロダクトでのQA業務をどんどんやってもらえば効果が出るでしょう。
一方、会社規模が大きかったり、複数プロダクトがある場合。組織化の予定があるかは大切です。
QAエンジニアにとって大きな判断基準になるのは、一人目QAとしてJoinしたのち、二人目三人目を採用する予定があるかどうか、です。
ひとりって辛いんですよね基本。やりたいことが沢山あってもパワーに限界はありますし、QAの専門家が自分だけだと、なかなか「これで行くぞ!」という決断がしづらかったりします。壁打ち仲間は欲しい。
うまくいくかは別として、二人目三人目くらいまでを採用する予定があるのであれば、一人目としてもJoinしやすいです。逆に「むこう3年は一人でやってくれ」など直近で体制増の予定がないのであれば、それは一人目の採用時点で正直に伝えてください。二人目の必要性を納得してもらうための労力、はかなり大きいです。
もし組織化をする方針で、かつそれを一人目QAの職責としてやっていってほしいのであれば、どんなマイルストーンで進めたいのかも明らかにしてください。
1年後にチーム化、3年後に部にする、などなど。あくまでも仮でいいので。逆に「マイルストーン設定からやってほしい」ならそれはそれで、そのとおりに伝えたほうがミスマッチが減りそうです。
品質やQAエンジニアに対する考え方・スタンス
私は「QAエンジニアが最後の砦」「品質の門番」という考え方は合わないのでそういう募集は目ミュートするのですが、こうした品質やQAに対する考え方は明示しましょう。(※最後の砦!と言っておけば伊藤が弾けます)
が、これまた感覚でしかありませんが、昨今のQA・品質界隈でのトレンドとしては、QAエンジニアが最後に登場してテストをして、リリース可否を判断する存在(通す/通さないを決める)というのは、あんまり好まれない気がしています。 むしろ、要件定義など開発プロセスの最初から全体通して関わって、ありとあらゆる場面で品質向上に関する活動をする、というのが好まれているようです。
それもあってQAエンジニアの得意分野とかキャラクターがバラバラだったりもするのですが・・・
とはいえ、会社としてQAエンジニアにやってほしいことに近いですが、CTOや開発部長、あるいは企業のカルチャーとして品質をどう捉えているのか、は明確にすべきです。
ざっくりまとめ
QAエンジニアとして、中途の募集に対する期待としては
- QA観が合うかどうかがわかると嬉しい
- 特に「最後の砦」は不人気
- 期待される動き方・ジャンルがハッキリすると嬉しい
- 品質の大切さやテストの重要性をいちいち説いてまわらなきゃいけないのは嫌
- 中にはそういうのに燃える人もいますが
- 「大事だけどできてない、うまくいってない」は問題ない。「QAエンジニア?なにしにきた?」みたいな人がいないことが大事
- 二人目、三人目あたりは無条件に採用予定だと嬉しい
- QA同士も壁打ちしたり相談したりしていろんな施策をやっていきたい
- ずっとソロは寂しいし、スキル向上の面で厳しい
といったところでしょうか。
一人目でどんな人を採用できるか、はかなり重要で、良いQAエンジニアを迎え入れるのはけっこう大変だと思います。
TwitterのDMなりメールなりいただければ、いちQAエンジニアとして答えられる範囲では答えられると思いますので、なにかあれば聞いてください。