新卒でソフトウェア業界に入ってくる人は、学生時代のバックグラウンドがバラバラです。Rubyのコミッタですみたいな人もいれば、パソコン持ってないしコード書いたことがありませんという人もいます。

前者はまず問題ないでしょうけれども、後者のように「これからスタート!」という方は、キャッチアップするべき/したほうがいい技術や知識が沢山あります。

そこで、ソフトウェア業界に入ったばかりの方や、入って2,3年という方々には「ソフトウェア関連の雑誌を読むこと」をお勧めします。

なぜ雑誌を読むと良いのか

雑誌を読むことを進める理由はいくつかありますが、大まかには「いろんなテーマについて扱われている」「プロが書いてプロが編集した内容が、まとまって載っている」ことが大きいです。幾つか細かい例を挙げます。

技術の流行がわかる

雑誌で取り扱われる内容のメインとなるのは、今流行っているもしくは流行りそうな技術の解説です。

ソフトウェア開発における技術は日々進歩していて、次々と新しい言語やフレームワークが登場してきます。それら全てを把握・理解する必要はありませんが、「そういうのもあるのね」と頭に入れておくことには大きな意味があります。

毎年年度始めには新人向けの入門記事が増える

3月や4月頃に発売される雑誌には、新入社員応援企画として一般的なソフトウェアエンジニアが身につけておくべき基本の解説が載っていることが多いです。例えばSoftware Designの2017年4月号は「新人のためのLinux入門」がメインの特集になっています。

こうした基本的な事項というのは、実は先輩社員でもろくにわかってない場合が多いです。最初のうちに基礎的なことを知っておくことが大切です。

雑誌の読み方

雑誌を読むといい、と言いましたが、毎号隅から隅まで読んで全部を理解するのはまず不可能です。

全部理解しようとせず、「面白そうなこと」を見つける

ソフトウェア関連の雑誌に書いてあることを全て理解することは、雑誌の編集者にも寄稿者にもムリです。だから一般読者でも「全部わかった」という状態はまず有りえません。

なので、特にソフトウェア業界に入ったばかりの人が雑誌を読む時には、まず「なんか面白そうかも」と、少しでも興味を持てるジャンルを探しましょう。これは完全に感覚で構いません。

興味を持てそうなジャンルやツール、技術が見つかったら、今度はそれについて検索して調べるなり、本を買ってみるなりして、少しずつ調べていきましょう。まず大切なのは「コレだけはちょっと知ってる」というキーを持つこと。これが一つあれば、あとは似ているものや関連する技術など、少しずつ範囲を広げていくことが出来ます。

キーワードを自分の中にためていく

キーワードをためられることは、雑誌を読む1番のメリットと言えるかもしれません。

雑誌を読んでいてわからないことだらけでも、「なんだかこの単語何回も出てくるな」という単語を見つけることが出来ます。「Java」かもしれないですし、「Docker」「クラウド」「IoT」などなど、ただ読んでいるだけでも沢山のキーワードが見つかります。

これらはすぐに調べなくてもいいので、どこかにメモするなり覚えておくなり、とにかく「聞いたことある」状態を作りましょう。

この聞いたことある状態というのが、初心者には非常に大切です。理由は単語を知っているだけで、相手の反応が変わるからです。

例えば上司から「◯◯って知ってるか?」と尋ねられたとき。「聞いたこともありません」という若者よりも「聞いたことはある、という程度なので、教えていただけますか?」と言ったほうが圧倒的に良くしてもらえます。上司や先輩はやる気がある後輩・部下に世話を焼くのが大好きないきものです。(一部悪い人を除く)

そこでやる気があることを示すためには、「聞いたことがある」というのが大きな武器になります。もちろん、聞いたこともないことを「聞いたことがある」とウソをつくのはNG。相手がわかっていれば30秒以内にバレて、かえって評価が下がります。

また、取引先やお客さんとの会話の中で技術的な単語が出てくることは多々ありますが、基本的な単語も知らない相手にいちいち説明してくれるほど優しくはありません。「AWSってなんですか?」とか聞いてると「もういいです他所に頼みます」となってしまいます。

AWSについて完璧に知っておく必要はなく、少なくともどんなものか雰囲気レベルで知っていること、最低でも聞いたことが無いと苦しいですよね。単語として聞いたことがあれば、その場は「ふんふん」と話に乗っておいて、後で家に帰って調べることができる。単語すら知らないと、後で調べることすらできません。

前に某所の議事録で「レスト?がいい」と書いてあるのを見たことがあります。おそらく書いた本人が家に帰って「レスト」で調べても求めている情報は出てきません。RESTだと分かるかどうかが分かれ道になっているのです。

コレ読んでみるといいよ、という雑誌

software design

個人的には鉄板です。新人は内容全くわからなくてもとりあえず買って目を通したほうがいいです。ちょっとわかってきた3、4年目あたりの方は興味あるトピックのときだけ買うのもアリ。

下のリンクはこの時期を書いたときのものなので、ご覧になっている時点で最新の「4月号」とかだと特に初心者向けの入門内容になっているのでおすすめです。

ソフトウェアデザイン 2017年 04 月号 雑誌

Web+DB Press

これはWebよりの方にお勧め。プログラミング言語やフレームワークの話だけではなくチームビルディングやプロジェクトの進め方みたいな話も載ってるときがあって、有用です。隔月での発行なので、気になるチュートリアルは2ヶ月かけてゆっくりじっくり取り組みましょう。その間にnodeのバージョン上がってたりするけど。

WEB+DB PRESS Vol.97

日経Linux

ラズベリーパイとか載ってるので個人的興味がありますいつも。

日経Linux4月号

私は大学時代にWindowsのノートPCにUbuntuをデュアルブートして遊んだりしていたのですが、最近の学生さんはそういうことしないんですかね。

日経ソフトウェア

初心者向け。たまに厚めの小冊子が付いてくる。

日経ソフトウエア2017年5月号

個人的本音としては、Software DesignとWeb+DB Pressは定期購読していいレベル。日経の2冊は本屋で立ち読みして面白そうだったら買うといいです。

まとめ:雑誌で広く浅く知り、その後本や先輩で深める

雑誌のいいところは、最新の技術から枯れた技術までが幅広くまとまっていること。全体を広く浅く知るにはちょうど良い媒体です。

ただし、雑誌だけで仕事が出来るレベルまで身につくわけではありません。雑誌を読んで気になったトピックは別途本を読んで手を動かすなり、上司や先輩に聞いてみるなりして、より深める学習を行いましょう。

深めるもの以外でも、目についたキーワードは自分の中にためておいて、いざ会話や書籍の中で出てきたときに「聞いたことあるぞ!」と言える状態にしておきましょう。その「聞いたことある」は「何も知らない」のと圧倒的な差があります。「聞いたことある」をどんどんストックして、それらを着実に「わかる」「できる」に育てていきましょう。