2018/6/26に行われた、【テスト要求分析】語る夕べスペシャルコラボに参加してきました。
イベントページはこちら。
【テスト要求分析】語る夕べスペシャルコラボ – connpass
この会はビズリーチさんの「D-Cube – connpass」と鈴木三紀夫さんの「語る夕べ – connpass」のスペシャルコラボでした。
発表1
EgaSa(@EgaSaQA)さん | Twitterによる発表でした。
会社の新人さん相手に「テスト要求分析」を研修したそうなのですが、出てきた感想がポジティブネガティブいろいろ。
要求分析ってこういうことだよ、と言ってもやはり経験がたまらないとなかなか腹落ちできないんですよねー、というお話。とてもわかります・・・。自分もお話聞きながら、「あー、この会聞いて意味があるようになったのも一つ、いろいろと経験してきたからなんだろうなー」と思っていました。
テスト要求分析やりましょう!
発表2
語る夕べ主宰、鈴木三紀夫(@mkoszk)さん | Twitterさんによる発表。大ボリュームでした。
それもそのはず。
もともと、マインドマップを使ったテスト分析設計勉強会を頼まれて、気合を入れて資料を作ったところ、「いや、初心者対象なんです」とギリギリに言われてしまったという渾身の28239文字。これを「みきおさんが話し終わるまで」という握りで会場借りてスタートしたのが本会。いろいろすごい。そのため、今回はテストの中級から上級者がターゲットとのことでした。
発表1のEgaSaさんの「経験がたまらないと腹落ちしないよね」という話に繋がりますね。
- 初めてテスト要求分析をするテストチームに所属する人に対して、一緒にテスト要求分析について考える
- Web系のQAにとっては今回の内容は重たい。全部やるのは重い。つまみ食いして取り入れてほしい
ということでスタート。
最初はことばの(みきおさんの)定義や、今回の話に出てくるテスト技法や人についてなど、前提事項の説明をみっちり。
この辺はコラボイベントということで特に丁寧にしてくださっていたようでした。
たとえば「分析」ということば。
辞書で引くと
[名](スル)
1 複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること。「情勢の分析があまい」「事故の原因を分析する」
2 哲学で、複雑な現象・概念などを、それを構成している要素に分けて解明すること。⇔総合。
3 物質の組成を調べ、その成分の種類や量の割合を明らかにすること。
などと出てきます。(※上のは私が検索した結果なので、当日スライドの辞書引用とは異なります。)
[2018/7/3 追記 @akiyama924 さんより、分析の対義語としての「そうごう」は綜合、とご指摘いただきました。上記は引用なので、この追記で補足しておきます。]
この辞書的な意味だと、事柄を分解するところまでを指しています。しかし、みきおさんの「分析」は、分解だけでなくて「再構成」も含んで「分析」としているそうです。
このほか、要求、プロセス、テストプロセスなど用語のお話。
大ボリュームの資料はのちほど公開いただける・・・と思う(たぶん)ので、自分がお話伺ってて思考フックにひっかかったポイント3つに絞って紹介したいと思います。
用語で世界が変わった経験
新しい用語を知ると世界が変わる
というお話。
あるチームではそれまで「テスト準備」という工程でテストケースを書いたりしていたところ、「テスト設計」ということばがポンと入ってきた事によって、市場に出てしまう不具合が減ったそうです。
みきおさんは「テスト設計」という言葉を発した側で、このことばを持ち帰って成果が出た人からとても感謝されたそうです。
仕様書を見て「おかしいぞ」と思わない
みきおさんは三色ボールペンで仕様書を読む等されている(詳しくはソフトウェアテストPRESSのvol.2参照)そうなのです。
仕様書の読み方を研修・指導などする際に「おかしいと思ったところ、気になるところに線を引いてみよう」と言っても、最近は「おかしいと思いませんでした」という人が増えたそうです。
これはびっくりしました。
あとでTwitterなどを見ていると、「そもそも最近の若い人はしっかりした仕様書にふれる機会がない」という意見もあったりして、なるほど確かに、と。自分を勝手に若い人のほうに入れてしまいますが、仕様書がなかったり、動いているものから仕様を想像して書き起こしていくような機会のほうが多かったように思います。
それにしても、おかしいと思うポイントが無いというのはなかなか・・・なので、そもそもの文章の読み方とか、インプットの仕方みたいなところは自分も訓練したいですし、後輩に何か教えるときに気をつけねばなと思いました。新しい発見。
テストのぬけもれ、説明
全体的に、テスター・QA・の役割として、説明をする。自分がその結論に至った道筋を説明できるようにしておく。ということが大事だなというのが伝わってきました。その部分を突き詰めているのがみきおさんなんだなーと。
本編後のQ&Aで、「観点は足りているのかといったツッコミを外から受けることがよくある」という質問がありました。こういうとき、相手は「まだ不安です」というメッセージを発信しているということ。相手が(それなりに)納得するような説明ができないといけないなぁと思いつつ、モヤモヤも残りそうだなー、もっといろいろ考えてみたいなーというところ。そして納得、というキーワードでJaSST関西2018につながる、と。
こうやってイベントでお話伺ってると、あっちこっち思考のつながりができてきて面白いですね。(しかしそれを他人に伝わるように表現するスキルをまだ持っていない・・・)
ぬけ漏れはないのか?って聞いてくる人、大体が、どんなレベルのプロダクトにしたいのかとか、何が優先なのかみたいな意志を持ってないイメージだなー。勝手に。#語る夕べ
— 伊藤由貴(アウトプッター😣) (@yoshikiito) 2018年6月26日
テスト観点、ということばについても、テストの目的との違いについてにしさんとみきおさんとで意見が異なりそうだったので、この辺も別の「語る夕べ」に出ると聞けるのかもしれません。
まとめ:資料公開に期待
ポイント3つ、と書いておいてアレですが、ほんとうに当日は大ボリュームだったので、ブログ記事ではカバーしきれず!なので資料が公開されたらぜひ読んでほしいです。自分も読み返してまた思考のタネにさせていただこうとおもっています。
テスト要求分析ということばから、自分の中で要求分析っぽいことをやっていたときには、テストベースをインプットにして、どう設計につなげるか、といったところに意識が向いていた気がしました。要はテストをつくる側に閉じた視点ですね。
でも今回のお話を聞いて、そうではなくて、関係者に対して説明をする。認識を合わせて、足りなければ補足をもらう。など、もっと外に向かっての意識を持つ必要があるんだなと感じました。その、他人が見てわかるように説明をつけるための道具や考え方、「自分はこうしてきた」という部分がたくさん聞けた会でした。
と、自分の過去の経験などとリンクしていろいろと考えや思いが出てくるので、**語る夕べにくると、自分も語りたくなる。**ですね。(ビビリーなのもあってその場では出てこないんですが、帰り道とかであれこれ浮かんでくる。)
この記事に書いた以外にも、ステークホルダーの影響度の話とか、意地悪漢字・タートル図、カスタマーズカスタマー、リッチピクチャーなどなど、本当にいろんな要素が詰まっていた贅沢な会でした。その分、聞きっぱなしだとたぶんそれで終わってしまうので、参加した人はぜひブログ書いたり資料読み返したりしてアウトプットしていきましょう・・・!
参考
イベント中の臨場感を、Togetterで!