ギガ盛りブログ飯というオンラインサロンの「ギガ盛りUnlimited(β版)」にて、日本実業出版社様より
をご提供頂きました。
2015年のITエンジニア本大賞ということでもちろん存じ上げていた本、ようやく私も読みました。
読みたくなったキッカケ
本書はソニックガーデンの代表取締役である倉貫さんが書かれている本。前々からソニックガーデンさんのお仕事の仕方についてはネット上で目にすることがあり、「実際どんなものなんだろう」とずっと気になっていました。
特に、私はソニックガーデンで働いてらっしゃる伊藤さんのブログgive IT a tryを読んでいて、かなり惹かれていた会社さんです。
一方で、世間的には「納品がない」とか「リモートで働ける」とか、エンジニアが楽できる会社みたいな誤解があるんじゃないかという雰囲気もあり、その辺も本書の中で書いてあるといいなーと思って読みました。
エンジニアとお客様とが幸せになれる方法を
本書では、主に「納品のない受託開発」がどんなものなのかが書かれています。
ソフトウェア業界では、他の業種の会社からの依頼を受けてシステムを開発することが多いです。一般的には
- 何をつくりたいのかを決める
- 完成までにかかる時間と金額を見積もり、合意すれば開発開始
- 出来上がったシステム(ソフトウェア)を納品し、OKならお金がもらえる
といった流れなのですが、この仕組みだと誰も幸せにならないケースが多々発生しているのが現状です。
というのも、世の中の流れやIT技術のスピードがどんどん速くなっている今、システムが完成するころには「やっぱり現状にそぐわないから、最初に決めたものと違うものが欲しい」なんてことが起こるからです。
こういった不幸を避けるための仕組みが、顧問エンジニアとして月額定額でお仕事をする「納品のない受託開発」です。
※詳細は本書を読んでいただくとして。
この本を読んでいて素晴らしいなと思ったのが、
ソフトウェアの完成ではなく、顧客のビジネスの成長
を一貫して目指している点。そのために、切り捨てるところは切り捨て、それを理解してくれている顧客と一緒に仕事をする。
この姿勢自体は、納品のない受託開発であろうと従来の一括請負であろうと、大切なことにかわりありません。
しかし、顧客のビジネスの成長を目指しながら、エンジニアである自分たちも幸せになれる方法ということで考えられた「納品のない受託開発」。
日頃ソフトウェア業界で働いていて「変だな」「これってお客さんは幸せになるんだろうか」と少しでもモヤっとしたことがある方はぜひ手にとっていただきたい1冊です。
納品のない受託開発という考え方が、ソフトウェア開発における万能の解決策であるとは思いませんし、本書にもそうは書いてありません。ただ、本書で説明されている「納品のない受託開発」の考え方や、それを行っている倉貫さんをはじめソニックガーデンさんの思いを知っておくと、自分の日頃の働き方や、キャリアパスを考える際に良い影響を受けることは間違いないなと思いました。
この本を読むと明日の仕事効率が120%になる!等の性質のものではないですが、考え方を業界のみんなに持っていてほしいです。ソフトウェアに関わる人は読んでおいて間違いない本です。