探索的テストの本てあまり読んだことがないなぁと思い、発売情報が出るとともに予約し、2024年の年末課題図書として読みました。

目次はこんな感じです。

第1章 ソフトウェア品質の事例
第2章 手動テストの事例
第3章 スモール探索的テスト
第4章 ラージ探索的テスト
第5章 ハイブリッド探索的テスト
第6章 探索的テストの実践
第7章 ツアーとテストの問題点
第8章 ソフトウェアテストの未来
付録 テスト業界で成功するためのキャリア構築/ジェームズ・ウィテカー教授の「ブログ」セレクション/注釈付きジェームズ・ウィテカーのMicrosoftブログc

最初に「品質って大事だよね」という導入から始まり、スクリプトテストと探索的テストの話に移ります。

本の主張の土台になっているのは、スクリプトテストと探索的テストは相互に補完するものでありどちらも大事ですよ、ということです。途中で出てくるハイブリッド探索的テストは、スクリプトテストの流れをベースにしつつその過程で探索的テストの観点を取り入れ、あちこち寄り道しながら進むようなイメージのものでした。

そして、本書ではそういった探索的テストの色々なやり方や考え方を「ツアー」つまり旅行にたとえて説明されています。

例えば、ソフトウェアのマニュアルに書いてあることに沿って操作ができるかやってみることは、旅行で言うところの「ガイドブック通りの順序で巡るツアー」、といった具合です。

この例え話が、たぶん人によると思うのですが、「なるほど面白いな」と思う人と、「かえって分かりづらいかも」と思う人とにわかれるようです。自分は残念ながら後者でした・・・旅行好きってわけでもないからですかね。

ツアーのメタファを使ってたくさんの探索的テストの観点やら考え方やらが紹介されていて、探索的テストをするうえで有用なヒントになるのは間違いないと感じました。一方で、本書の中盤はそうした探索的テストの観点について、まず「***ツアー」という名称で旅行のメタファが語られた後で、「それはソフトウェアのテストでいうとこういうことです」と説明されるという構成になっていて、ここがスッと入ってこなかったです。最初からソフトウェアの世界の説明でいいなぁ、というのが正直な感想でした。

ただ、そのために本書の価値が無いかというと決してそんなことはない、とも思います。フォーマットや説明の仕方が合う合わないの問題であって、書籍の内容(≒情報)としてみたときには十分読む意味のあるものだと考えています。