自分の中で「テストの死神」と呼んでいる状態があります。なかなか物騒な話に聞こえるかもしれないですが、今回は死神ってどういうこと?というところと、そうならないためにどうするか、自分の経験をもとに紹介しますね。

テストの死神になったとき

以前、いちテスト実行者として「バグを見つける」ためのテストをしていた時の話です。そのときはテストリーダー的な人が上にはおらず、自分と開発プロジェクトのリーダー(以下開発PL)さんとの間でやりとりをしながらお仕事していました。

このときはBTSとかITSのようなものはなく、Excelに書いてあるテスト手順に従って実行し、重要度のそれほど高くないバグは退勤時にサマリをメールで報告、重要度の高いバグは都度開発PLさんのところに直接報告に行く、というスタイルで動いておりました。

自分はひっじょーに優秀なテスターだった(ウソ)ので、ちょこちょこ重大なバグを見つけては開発PLに報告をしにいっており、市場に重大なバグを漏らさないという意味でそれなりに貢献は出来ていたと思います。

そんなある日、休みの予定を調整しようと思って開発PLのところに向かったところ、開発PLは青白い顔で言いました・・・

「ヒッ・・・ま、また何か起こりましたか・・・?」

その時、私はテストの死神になっていたのです・・・

気づいたら厄災の象徴みたいになっていた

上で書いたのは大分誇張した面があるのですが、「伊藤がきたぞ、重大不具合だ」といった雰囲気になっていたのは本当です。

このときは大分反省しました。

別にバグを見つけて報告すること自体は悪いことではないのですが、繰り返すうちに、幸せの青い鳥の逆バージョン、黒猫とか、縁起の悪い存在のようなイメージになってしまっていたのです。

それを(なってはいけないという教訓の意味もこめて)「テストの死神」と呼んでいます。

テストの死神にならないためにどうすればよいか

私の答えは単純で、「ほめる」ことです。

伊藤がくる=重大不具合が見つかったということ

という印象を持たれてしまっていたので、まずはこの等号を切り離そうと考えました。

不具合の報告だけではなく、日常的にもっと「ほめる」ことや、もっと広くポジティブなことも話すように心がけました。

例えば「前のバージョンに比べて大分不具合が減ってて、テストもいい感じに進んでますよー」とか、「修正速かったおかげでテストの進捗も影響少なくて済みそうです!ありがとうございます!」とか。

当然ながら、見つけた不具合を言わずに黙ってはおけないので、重大な不具合を指摘する回数を意図的に減らすことは出来ません。その分、コミュニケーションの総量を増やすことによってポジティブな報告を増やしました。

これによって、自分が開発PLさんに近づいていっても「おう、どうした?」といったウェルカムな態度で迎えられるようになりましたし、普段の会話の中で得られる情報量が、不具合報告メインのときと比べても大分増えました。

まとめ

テスター・テストエンジニアの仕事の一つはバグを見つけることです。が、バグを見つけて報告することだけに注力していると、あなたも死神になってしまうかもしれません。

バグを見つけて直してもらうのは最終目的ではなく、あくまでも品質の良いものをリリースすることが目的です。そのためには、死神になるのではなくて、もっと場の雰囲気を良くしつつ品質向上に貢献できるテスター・テストエンジニア・QAでありましょう。(自分もたまに忘れるので、きをつけます。)

ちなみに

死神のほかに、テスト貧乏神も存在します。

桃太郎電鉄の貧乏神のように「プア!プア!社長さんのために重大なバグを沢山みつけて来たのねん!」と言った具合に、喜々として不具合を報告してくるテスターのことをいいます。(私が勝手に命名)

テスト貧乏神も、開発からするとイラっとすることがあるので、気をつけましょう。(楽しいですけどね、バグ見つけるの)