月は無慈悲な夜の女王/ロバート・A・ハインライン

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)』で神林というSF好きキャラクターが

ド嬢「SFは大体わかった」
神林「わかるかぁ!!『異星の客』も『月は無慈悲な夜の女王』も読んでねぇんだからハインラインすらわかってねぇよ!!」

というやりとりをしています。

そのくらい、SFではこの『月は無慈悲な夜の女王』は有名な作品だそうなので、入門者として外せないと思い読んでみました。

あらすじは以下。

2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した!流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取されつづけてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには…ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇。

本書が書かれたのが1960年代だけれども古さは感じませんでした。おそらく月に住んで独自の文化・風習で生活している主人公たちなので、例えばスマホが無いとかそういった点が気にならず、本の中の架空の世界にぐいっと引き込まれたからだと思っています。

物語の軸は、マイク(コンピュータ)とマニー(主人公)を含むメインキャラクターたちが強力して、月世界を地球政府から独立させるというところ。機動戦士ガンダムのジオン公国を彷彿とさせますが、こちらは戦艦によるビームの撃ち合いの派手な戦いというよりは、政治・交渉の色が強く、バトルシーンなどはあまり多く出てきません。例えるならばボクシングではなくチェスの戦い。(もちろんある程度武力衝突はありますが)

主人公たちが月側の人間ということで、そちらの、地球の人間からすると「自分たちと違った文化・考え方をもつ、奇妙な人間たち」の側から地球人を見た時が面白くて。判断の遅さとか、異文化をナメた感じとか、「もし月から人が来たりしたら地球人はこんな感じの態度取りそうだなー」と、妙に納得しつつ、そういった異文化をナメたり事なかれというのは、まさに今地球内でやっていることですね。

物語自体は王道感もありつつ、最後には「どっちに転ぶんだろう」とハラハラもできましたが、個人的には8割がた「がんばって読んだ」というのが正直なところでした。Amazonレビューでも「訳が駄目」といった感想が多く見られ、私も同感です。タイトルの翻訳は相当良いんですけどね・・・

が、たしかに読み終わってみると名作には違いないと感じたので、新訳がいつか出ることに期待しつつ、まだのかたはまとまった休みを使って読んでみましょう。

次の一冊

同じAI的なつながりで、『あなたのための物語』が面白い。
こちらはコンピュータに小説を書かせるお話・・・というと聞こえが良いのですが、そのコンピュータをメインで作っている博士が死の病を患いながら、自分の命とコンピュータと双方に向き合っていくお話で、かなり痛々しい描写がありますが、それでもオススメです。

この記事を書いた人

yoshikiito.el

普段はQAエンジニアをやっている@yoshikiitoです。 趣味はブログを書くこと、浦和レッズ、読書、技術書を買って積むこと、写真などなど。
最近子供が生まれたので育休→復帰して仕事してます。